2024.07.30GOALZ

今一番したいこと

10年以上「reach芦屋(有料老人ホーム)」にご入居中の西條さまは、小児脳性麻痺のため自力で歩くことはできず、手は右手のわずかな指しか動かせません。身寄りはおらず、後見人が金銭管理などを行っています。遠出は年に3、4回程度で、後見人と出かけることが多いですが、コロナ渦の影響でその回数も大幅に減少していました。

春に桜を見に行った際、西條さまは「遠足みたいなことがしたいな」とおっしゃいました。話を進める中で、今一番したいことが大好きな回転寿司を食べに行くことだとわかり、「GOALZ」の企画が立ち上がりました。しかし普段、ソフト食を召し上がっている西條さまが安全にお寿司を食べられるのかが心配でした。

当日の西條さまは1時間以上も前から準備を完了し、車の中ですでに涙を浮かべていました。回転寿司ではわずかしか動かせない指を使ってタッチパネルで注文し、全て自分の手で召し上がりました。大好きな鉄火巻についても「切らなくてもいい。自分で噛みちぎるから美味しいんや!」とおっしゃり、その言葉に私たちは西條さまの「できる力」を奪おうとしていたことに気づかされました。そして、ほぼむせることなく、自分の力でお寿司を召し上がり楽しまれた西條さま。帰りには思い出の場所を巡りながら海沿いをお散歩しました。

私たちの仕事は「できない部分」をサポートするだけではなく、その人の持つ力や「できる部分」を見つけ出し、サポートすることでもあります。このGOALZ企画はそのことを再認識させてくれました。ご利用者さまと一緒に思い出を共有することが何より嬉しく、私たちも200%楽しむことができました。